あまのじゃくな彼女【完】
そんな私の真意を知ってか知らずか、ふーんと気のない返事をすると宏兄はさっさと後片付けへとむかった。
チラリと出入口へと目をやると、門下生達を見送るお父さんに鋭い一瞥を喰らった。
「片付けくらい手伝え」って事ね。分かってますよ、と。
宏兄の後に続き、備品を整理し忘れ物が無いかチェックしていく。
キョロキョロと見回りながらゆっくり一周していくと
「めーいっ!」
急にガッと背中に強い衝撃を感じ、思わずつんのめる。
こんなことするのはアイツしかいない。
「コォラ、大地ぃー!!」
振り向きながら叫ぶと案の定、汗で髪をぺったりと額に貼り付けた大地がしてやったり顔で仁王立ちしていた。
「めい、ちっとも俺の稽古見てくんないんだもん!少しは顔出せよなぁ」
「バカ言わないの。お父さんがちゃんといたでしょ?」
低学年生の稽古につく宏兄とは別に、私はお父さんと一緒に高学年生の打ち込み稽古に付き合っていた。
具体的な指導はやはりお父さんの仕事なわけで、私は主にお父さんの指導が出来ているか・・・のチェックに回った。