あまのじゃくな彼女【完】
最近の大地はかなり稽古に気合が入っているらしく、宏兄は「アイツ最近殺気立ってるぞ」と冗談めかして褒めていた。
「大地、最近頑張ってるらしいじゃない。宏兄が誉めてたよ」
よしよしと褒めるように湿った頭を軽くたたく。
「・・・だぁっっ子ども扱いすんな!見てろよ、早く入賞してアイツに認めさせてやんだから」
と、大地はムキになって私の手を拒んだ。
すぐには大地の言葉の意味が分からず、きょとんと大地の顔を見やった。
「忘れたのかよ!あのシュンとか言う奴、めいって呼びたきゃ大会で勝てって言ったじゃん」
いやいや、勝って無くても〝めい”って今も呼んでたじゃない。
そんな約束忘れてくれればいいのに。
宏兄でもなくお父さんでもなく。まさか大地からその名前を聞かなきゃいけないなんて。
「そうだったっ・・・け?まぁそんな約束どうでもいいからさ、稽古頑張ってね」
「はぁっ!?どうでもいいって何だよそれ。めい、ちゃんとシュンに言っておけよなっ!!めいって呼ぶのは俺なんだから、シュンがめいって呼ぶの止め」