あまのじゃくな彼女【完】
「あいつ、異動なんだってな」
「宏兄、知ってたんだ・・・」
思わぬ話に驚いた。
シュンちゃんから聞いたのだろうか。それとも綾江さんから?
どのみち宏兄が知っていた所で当然と言えば当然だ。
私が知らない事もみんなは知っていたのだから。
「海外事業部だって、しかも部長。まぁ・・・ゆくゆくは上に立つんだもん、当然だよね」
「お前、知ってたんだな」
宏兄はほっと安心するような、何かを気に掛けるよな複雑な表情を浮かべた。
「最近聞いたの・・・綾江さんから」
私の言葉に眉をひそめ急に顔をしかめる。
さっきとは違い、納得のいかない不服そうな顔だ。
「アイツ・・・また余計な事を」
湧き上がる怒りを誤魔化すかのように、宏兄は乱暴に頭をかきむしる。