あまのじゃくな彼女【完】
海外事業部はオフィスが違う。
この自社ビルとは別に、もっと便の良い所に部署を構えていると研修の時に言っていたっけ。
間に合わなかった。
せめてきちんと話を聞いて、部下として、幼馴染として門出を祝ってあげたかったのに。
ロクに話も聞かず、私1人で突っぱねて。バカみたい。
茫然と2人で廊下に立ち尽くす。
何事かと廊下を行きかう人たちがチラチラと視線をよこすけど、それに構う余裕は全くない。
真っ暗闇の中、ゆっくりと深く沈んでいくような感覚。
「ちょっと、あなた」
私達の沈んだ空気を無視した、とても澄んだ声で現実へと引き戻された。