あまのじゃくな彼女【完】

大人な魅力の綾江さんからは想像つかない取り乱し方に、思わずポカーンと口を開ける。
その取り乱し方は、足を踏み鳴らし過ぎて華奢なヒールが折れやしないか心配しちゃう位だ。


事態が飲み込めずにぼんやりしていると

「まぁ・・・本人に聞けばいいわ」


ようやく落ち着いたのか軽くため息をつくと、綾江さんは再び歩き始めた。
ふと我にかえり慌ててそれを追いかけるけど、何一つ理解できないまま。黙って必死に足を動かす。



すっかり冷静さを取り戻した綾江さんは、フロアで一番重厚な扉の前で止まると何も言わずにその扉をノックした。




「どうぞ」


中から響く低く冷たい声を確認すると、ゆっくりとその扉を開けた。


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