あまのじゃくな彼女【完】
「なんだ綾江君、家のこと彼女に話したのか?あんなに知られるのを嫌がるのに」
意外だというように肩をすくめると、社長はデスクについていた両肘をようやくあげグッと背もたれに体重を乗せた。ふてぶてしくもあるその態度は社長だからこそ許されるのだろう。
綾江さんは社長に合せるように肩をすくませ、質問には答えず質問で返した。
「おじ様、隼人の異動はおじ様が仕組んだのね?」
「仕組んだとは人聞きが悪い。経営者として、必要な人事を取り仕切っただけにすぎん」
寛いだ格好には似合わない、鋭い視線で綾江さんを見やった。かといって、綾江さんもそれに怯む事ない。