あまのじゃくな彼女【完】
「社長なの、私をここに異動させてくれたのは」
「あの人が・・・?ますます分からん。って、〝くれた”ってめいはそれで良かったのか?」
混乱する頭で私の言葉尻を捕まえるあたりが優秀な彼らしい。
「うん。私が決めた事だよ。社長はそれを後押ししてくれただけ」
ますますもって理解しがたいらしく、眉間にしわを寄せ怪訝な表情で私の言葉を待った。
当たり前だ。
私だって混乱の中ようやく受け入れた現実だ。突然聞かされた彼がすぐに想像できるような事じゃあない。
そもそもシュンちゃんは、大きな勘違いをしている。
とっても大きな、とんでもない勘違い。それも〝意図された”ものだ。
もう時効だろう、そろそろ教えても良い頃だと思う。
「〝君には味方でいてやってほしい”、そう言われたの」
ゆっくりと、長年の秘密を紐解く時が来た。