あまのじゃくな彼女【完】
「だから君にはずっと、あいつの味方でいてやって欲しい。私の尻ぬぐいをお願いするようで申し訳ないんだがね」
「社長・・・そんな」
「昔言っていたよ。嘘がつけなくてまっすぐで、それでいて危なっかしくてほっとけない子がいるってね。君といれば、あいつはきっと道を誤らないさ」
社長の思わぬ言葉にジンと胸が熱くなる。
黙って話を聞いていた綾江さんもようやく肩の荷がおりたのか、ふぅっと大きくため息をついた。
「私はこの狸親父の手伝いをしてただけ。隼人がコーエンを継ぐべきだって気持ちは同じだったから。私が支えてあげたいってのもあったけど・・・それはもう卒業」
「お、綾江君はもう降りるって事か?」
「違うわ。最初っから私は土俵にも立ててなかったもの。きれいさっぱり〝お友達宣言”されたわ」
ふふっと笑う綾江さんは清々しい顔だ。しなやかな腕をのばしぐっと背伸びをすると、椅子によりかかり一気にリラックスモードになった。
「そういうことだから、あなたさっさと隼人の所行っちゃいなさいよ」
「え?行くって、どこへ・・・?」
綾江さんと社長は目ををあわせると、にんまりと不敵な笑みを浮かべ私の方をまじまじと見た。
「そんなの決まってるじゃないの」
「あぁ。そんなの私に任せてくれればすぐ手配してやろう」
「え・・・?・・・えぇっ!?」
訳がわからず2人を交互にみやると、微笑みながらも有無を言わせないその迫力に思わず息をのんだ。