あまのじゃくな彼女【完】


「だから君にはずっと、あいつの味方でいてやって欲しい。私の尻ぬぐいをお願いするようで申し訳ないんだがね」

「社長・・・そんな」

「昔言っていたよ。嘘がつけなくてまっすぐで、それでいて危なっかしくてほっとけない子がいるってね。君といれば、あいつはきっと道を誤らないさ」


社長の思わぬ言葉にジンと胸が熱くなる。

黙って話を聞いていた綾江さんもようやく肩の荷がおりたのか、ふぅっと大きくため息をついた。


「私はこの狸親父の手伝いをしてただけ。隼人がコーエンを継ぐべきだって気持ちは同じだったから。私が支えてあげたいってのもあったけど・・・それはもう卒業」

「お、綾江君はもう降りるって事か?」

「違うわ。最初っから私は土俵にも立ててなかったもの。きれいさっぱり〝お友達宣言”されたわ」



ふふっと笑う綾江さんは清々しい顔だ。しなやかな腕をのばしぐっと背伸びをすると、椅子によりかかり一気にリラックスモードになった。


「そういうことだから、あなたさっさと隼人の所行っちゃいなさいよ」

「え?行くって、どこへ・・・?」


綾江さんと社長は目ををあわせると、にんまりと不敵な笑みを浮かべ私の方をまじまじと見た。


「そんなの決まってるじゃないの」

「あぁ。そんなの私に任せてくれればすぐ手配してやろう」

「え・・・?・・・えぇっ!?」


訳がわからず2人を交互にみやると、微笑みながらも有無を言わせないその迫力に思わず息をのんだ。




< 278 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop