あまのじゃくな彼女【完】
私のざっくりとした回想を聞くと、シュンちゃんは再び頭を抱え込んでしまった。抱えた頭をゆっくりと振り、理解できない出来事をどうにか飲み込もうとしているようだ。
「なんだよ、あのおやじ・・・結局手の上で転がされてただけかよ」
「シュンちゃん、大切に想われてるんだよ」
「やめろ、恥ずかしいっ」
手の間からこちらをギロッと睨むシュンちゃんは、耳が赤く照れているのがすぐわかる。
そんな些細な所がかわいくて思わず顔が緩む。
「シュンちゃん」
「ん?」
「私、聞かなきゃいけない事がある」
「・・・ん。何でもどうぞ」
私の言葉に姿勢を正すと優しい顔で私を見つめてきた。
その視線の穏やかに背中を押されるよう、抱えてきた気持ちがわっと零れる。
「シュンちゃんが私に教えてくれなかったのは・・・どうして?綾江さんと付き合ってるんじゃないの?私は・・・シュンちゃんにとって何?」
私のあふれる言葉にシュンちゃんの表情は崩れない。
シルバーフレームからのぞく柔らかな眼差しは、私の不安な気持ちをゆっくりと撫でるように温かい。