あまのじゃくな彼女【完】
私の言葉とほぼ同時にガタッと物音がしたかと思うと、いつの間にか俯く視界に黒い革靴が入り込んできた。
「そんな事言ってない」
「意味分かんない」
いい加減さに腹が立つ一方、自分の言葉に悲しくなり鼻がつんとなる。
「社内で“社長の甥”とかバレたら面倒だろ?財産目当てとかさ、そういう意味。あぁ・・・めいが居て気ぃつかう事もあったけど、それは」
「どうせっ・・・どうせ面倒だし男っぽいし、可愛げないわよ」
その先は聞きたくない。
震える声がバレないよう、小さな声でどうにか言葉を遮る。