あまのじゃくな彼女【完】
「俺の傍にいてよ、芽衣子」
優しく撫でていた手をそっと頬にそえると、シュンちゃんは前かがみになりゆっくりと顔を近づけた。
ようやく触れた唇はそれを確認するかのように、ゆっくりとお互いの唇や舌を丁寧に味わった。
深い大人のキスには違いないのに、いやらしいとか艶かしさとかはなくて。ただお互いを確かめあう穏やかなものだった。
ようやく唇を離すと、すぐにそれを埋めるかのようにきつく抱き締められる。
「好きだ、芽衣子」
耳元で吐息を感じ、遅れてようやく言葉を理解する。
じんわりと胸に広がる温もりと溢れでる涙。
ぐちゃぐちゃな顔を肩へと埋めると、その体温と溶け合うようにただひたすらにすがり付いた。
潤んだ瞳でそっと見上げると、極上の優しい眼をした彼が微笑んでいた。