あまのじゃくな彼女【完】
エピローグ

12月、外の空気は頬がピリッとする程に冷たい。だけど昼さがりの太陽は、この日ばかりはふんわりと温かい気がする。

穏やかな光の下、荘厳な鐘の音と一緒に一気に舞う花びら。

少しカーブした純白の大階段を、ひとつひとつ足元を確かめながら2人が降りてきた。純白のドレスが日の光でキラキラ反射して、由梨の美しさを際立てる。


両脇に控える出席者達が「おめでとう!」と声を掛けながらカメラを構え、それに倣うように私もカメラを構えた。


「きゃーっ!由梨さんステキ!こっちです」

誰よりはしゃぐ千葉さんは、既に数十枚の写真を撮っている。


「やっぱりその辺のモデルよりキレイですーさすがっ!」



千葉さんの結婚に掛ける意欲は相当のようで、「今後の参考にするんです!」と気合いを入れて撮影している。隣に立つ山下さんも千葉さんの勢いに押され、無理やり撮影班に加えられているようだ。

2人の仲睦まじい、というか砕けた雰囲気に何かを感じて顔がにやける。


主役の2人は満面の笑みで周りにお礼を言いながら、ゆっくり降りてくる。
由梨の穏やかで優しい笑顔に思わず見とれる。


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