あまのじゃくな彼女【完】
シュンちゃんの一言に恥ずかしさで火照った頬が更に熱を上げるのを自覚した。
あぁ絶対耳まで赤くなってる。髪の毛、アップになんてしなきゃよかった。
「っひゃ・・・っ!」
そんな私の考えを読むように、そっと耳を啄む音。私の反応に満足するように、クスクスと嬉しそうな笑い声が聞こえた。
「そんな照れなくても。すっごい真っ赤」
「だっ・・・誰のせいよ!」
両腕から逃れる様に身をよじるけど、しっかりホールドされていて全く逃げ出せない。そういう私も居心地の良さから、本気で逃げようとできずにいた。
「澤田、幸せそうだな。あ、苗字もう変わったんだったな」
「うん。吉川になったの。吉村と吉川でなんかややこしくなるねーってこの間も話したの」
ふふっと思い出し笑いをしつつ、幸せそうな由梨を見上げる。
「なるほどね。まぁそれも今だけだろ」
「ん?うん」
降りてくる由梨たちにフラワーシャワーのタイミングを見測るのに夢中で、シュンちゃんの発言になんとなく相槌をうつ。
ようやく私を解放すると、シュンちゃんも籠の花びらに手を伸ばした。
「やっぱりドレスが良いな。めいは?」
「ん・・・?え、ドレス?あぁ、キレイだよね」
解放されたのを良い事に、再びカメラを構えつつ反対の手で花びらをそっと掴む。
もうちょっと近づけばキレイに撮れそうだ。直接とカメラ越しにキョロキョロとタイミングをはかる。
「和装もすてがたい。袴似合うし、和装も絶対似合うな」
「え?そう?確かに和装も似合いそうだけど、カワイイ系だからな。やっぱりドレスでしょ」
カワイイ系の由梨には断然ドレスだろう。もちろん和装もあの子なら着こなすはずだけど。
シュンちゃんわかってないなぁー・・・と勝手に納得する。