あまのじゃくな彼女【完】
「わかってないのはお前だ」
「えっ・・・!」
脳内読まれたみたいに、するどくつっこまれて思わずギクッとする。
「澤田じゃなくて、めいの話。ドレスと和装」
「は?」
「は?じゃないでしょ。めいはどっちが着たいかと思ってね。まぁ両方着ちゃえばいいんだけど。おぉ、澤田・・・じゃないや吉川おめでとう」
あんぐり口を開けている私をよそに、シュンちゃんはちゃっかり素晴らしいタイミングで由梨にフラワーシャワーをかけた。
「ぁああっ!!!写真!!お花!!」
一瞬気を取られたせいで、せっかくのシャッターチャンスをみすみす逃した私は慌てて花びらを由梨にかける。
「あははっ!芽衣子ったら、何人の結婚式でいちゃついてるのよ。上から見えてたわよ」
「ち、違っ・・・!んもう!シュンちゃんっっ!!」
恥ずかしいのを誤魔化すようにキッっと睨みつけるけど、シュンちゃんにはまるでこたえない。それどころか軽く眉間にしわをよせ、呆れた表情で私を見下ろす。
「お前の親友、本当に鈍感で困る。自分の結婚式の話されてるのに、全然気づかないでさ。どうにかしてやってよ」
「あはは!芽衣子が鈍感なのなんて、今に始まった事じゃないですよ。この子には直球で言わないとダメですよ」
「まぁね。でも俺ちゃんと直球で言ったはずなんだけどねぇ・・・」
ふぅやれやれ・・・といった表情で私を見やるシュンちゃん。
いやいや、それじゃあまるで私が悪いみたいじゃない。プロポーズされた記憶なんてないし、キスすらあの日以来してない。ましてその先なんて・・・非常に心外なんですけど!
「ぷ・・・プロポーズなんてされてない!」
「いーや、ちゃんと言った。はっきり言った。返事もしてもらえてないけどね」
自信満々なシュンちゃんの態度に思わずうろたえる。
本当に私が悪いみたいじゃない。必死に記憶をたどるけど、そんな甘い時間記憶にない。