あまのじゃくな彼女【完】
そういえば、派遣の子噂してたっけ。
『部長と相澤さんってお似合いよねぇ。美人で仕事出来るし、相澤さんなら諦めつくわ』
そんなくだらない噂話も、思い出すと胸がキュッと軋む。思わず眉をひそめていると、
「吉村さん、緊張してるの?」
いつの間にか相澤さんが目の前にいた。
「えっ…いや、何でですか?」
「ほら、会長来るじゃない?緊張しちゃわない?」
確かに会長がわざわざ視察にくるのに、粗相があっちゃ大変だ。けど、私が会長と直接話す事もないだろうし。
「失礼がないように、とは思いますけど…」
「そっかぁ。順調なのね」
ふふっと楽しそうに笑うと、相澤さんは自分のデスクへ戻っていった。