あまのじゃくな彼女【完】
「め・い・こ!」
にやける同期の由梨に、めんどくさそうな一瞥をくれてやった。
「芽衣子ってば。営業の佐藤さんとどこいってたのかなー?」
「うるさい由梨、仕事中。ってか、見えてたなら助けてよ」
あぁ、あの男って佐藤って言ったっけ?
とぼんやり考えつつ、タイピングの手は休めない。
私達が働く企画課は、社内でも花形部署と言える。入社4年目を迎え、それなりに大きな仕事を任せられるようになった所だ。
由梨の追及を無視して仕事を続けていると、
「吉村さん、ちょっといい?」
少しハスキーな、それでいて穏やかな声にふっと顔をあげた。