あまのじゃくな彼女【完】

買い物するにも、あちこち見て回るのは疲れる。
とりあえずお店の集まる通り沿いへとむかった。

週末の街中は混んでいて、人混みの中をどうにか掻き分けて進んでいく。


ぼーっとしていると、
高校生位のカップルが、初々し手をつないでいるのが目に入った。

恋愛は正直疲れるけど、こういうほんわかした雰囲気は好きだ。

少し前を歩く男の子が、ちらちら後ろを振り向きながら、彼女がぶつからないよう必死で誘導しているのがわかる。
あまりのたどたどしさに心配になるけど、彼女のふんわりとした笑顔がちらっと見え
思わず私もふふっ・・・と幸せな気持ちになる。



横断歩道を渡り終えたところで、ふわっ・・・と知った香りに気づいた。
そんなに匂いに敏感なわけじゃない。
ただ、最近嗅いだ香りにとてもよく似ていたから。


横断歩道を渡ってすぐ、カフェの横から路地裏に抜ける細い道。
初めての道だけど、香りへの好奇心から、なんとなくその細い道を行った。

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