あまのじゃくな彼女【完】
じろじろみるもんじゃないな、と我に返り
路地裏探索も終えようと来た道を戻ろうとした時だった。
背を向けていた男性が少し顔を横にむけ、その顔がちらりと見えた。
「ん・・・?」
180cmオーバーの相変わらずのスタイルの良さ。
くりっとした目には、いつもあるシルバーフレームのメガネはない。
ねこっ毛頭はいつものようにふわふわしておらず、サイドでセットされている。
でもこの香りの持ち主は、まちがいなくあの男だ。
男性は軽く女性に手を振り、私の方へと向きを変えようとしていた。
やっ・・・やばい!!
男性が振り向ききるその前に、芽衣子はダッシュで来た道を戻った。
のぞこうと思ってのぞいたんじゃないし、たまたま居合わせただけ!
私は何も悪いことはしてない。
けど、だけど・・・見てはいけないものを見てしまった。絶対。
犯罪の目撃者ってこんな気持ちなんだろうか。