あまのじゃくな彼女【完】

じろじろみるもんじゃないな、と我に返り
路地裏探索も終えようと来た道を戻ろうとした時だった。


背を向けていた男性が少し顔を横にむけ、その顔がちらりと見えた。

「ん・・・?」

180cmオーバーの相変わらずのスタイルの良さ。
くりっとした目には、いつもあるシルバーフレームのメガネはない。
ねこっ毛頭はいつものようにふわふわしておらず、サイドでセットされている。
でもこの香りの持ち主は、まちがいなくあの男だ。


男性は軽く女性に手を振り、私の方へと向きを変えようとしていた。


やっ・・・やばい!!


男性が振り向ききるその前に、芽衣子はダッシュで来た道を戻った。

のぞこうと思ってのぞいたんじゃないし、たまたま居合わせただけ!
私は何も悪いことはしてない。

けど、だけど・・・見てはいけないものを見てしまった。絶対。


犯罪の目撃者ってこんな気持ちなんだろうか。

< 33 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop