あまのじゃくな彼女【完】
「まぁ、そうだな。この恰好知ってるのもそうだし」
係長がつんっと服をつまんで見せる。
「俺とのキスも、ね」
「な、に言ってんですか!冗談っ・・・」
「いやまじで。職場の人間に手出すなんてめんどくさいじゃん。だってわざわざこうして仕事とプライベート分けてんのにさ。会社でまで色目使われたんじゃ疲れるわ」
「はぁ・・・それじゃメリハリつける為ってとこですか?その恰好」
「いや、これがデフォルト。職場での方が作ってるってとこかな。あのモードでお願いすればみんな仕事やってくれるし、上司うけも良いしね。便利便利」
何だ、こいつ。
「まぁちゃんと仕事はやってるでしょ?使い分けて迷惑なんてかけてないし。だから困るんだよねぇ、職場にコレがばれるの」
「はぁ。それはそれで女性ファンが増えるとは思いますが」
「それはそうでしょ」
当然のような顔して高遠は軽くため息をつく。
多くの女性ファンの結婚相手候補に挙がっていることは、本人も自覚しているようだ。