あまのじゃくな彼女【完】
乱された仕事も見事巻き返し、ようやくお気に入りのカフェで由梨とのランチにありついた。
「まったく、なんなのあの男!!会社に何しに来てるんだっツーの」
もりもりとパスタをほおばり、今朝の苛立ちを味覚でなだめようとする。
「営業の佐藤さんって言ったら、爽やかイケメンでかなり人気あるのよ?」
「はぁ・・・?あの男、ろくに話した事もない私に“穏やかでおしとやか”なんて言ってきたのよ」
ぶすっっと怒り任せにフォークを突き刺す。
「うっそっっ!!・・・ぁははっっっ!!マジ、佐藤さん見る目なさすぎっ!!」
涙を浮かべながらひぃひぃ爆笑する由梨は、誰よりも芽衣子の本質を理解している。
「だって・・・あんた、仕事の事になると先輩だろうがくってかかるし、後輩がだべってたら鬼のようなレーザービームむけちゃうし。残業続いちゃうと、寝癖気づかずに出社しちゃうような女でしょうが」
「いや、だって社会人でしょ。仕事しに来てるんでしょ。ねっ…寝癖だって始業前に直すわよ」
仕事をこなしてこそ、社会人だろう。
納得できない顔をして、芽衣子は一心不乱にパスタに向かった。