あまのじゃくな彼女【完】
なのに、つかんだ書類は空中から微動だにしない。
書類を睨んでいた視線をそっとあげると、デスクの物をとるような自然な動きに合わせて、係長が口元を私の耳に近づけるよう少し屈んだ。
「ちゃんと朝礼聞かなきゃダメですよ」
すっと姿勢を戻し係長モードで微笑むと、仕事にとりかかってしまった。
気づけば無意識に自分のデスクへ戻っていた。
「ちょっと芽衣子、顔赤いわよ」
「えっあぁやっぱ職場でスカートって違和感ある、なって」
そっと自分の顔に手をやるとしっかりと熱くなっているのがわかる。
何でこんなに顔が熱いのか自分でもよくわからない。一体何に動揺してるのか。
きっとスカートのせい、きっと。