あまのじゃくな彼女【完】
「いやぁ、ほんと芽衣子ってば黙ってれば美人なのに。性格は武士なんだもん」
美人なのに、中身は『武士』みたい。
それが親しい人間からの、芽衣子に対する評価だった。
なんだかいかつい表現だけど、我ながら的確な表現だと思う。
黙っていればそれなりなので、言い寄られる事もたびたび。
でも、間違った事は許せない。誰よりまっすぐで男前。上辺だけで見てくる男なんて適当にあしらってきた。
無論、仕事中の人間無理やり拉致しておいて外見だけで告白してきて、謝罪もなしにさっさと退散しちゃうような男、言語道断だ。
「そんで、なんて言って断ったのよ?」
「彼氏いるって適当に言っといた。仕事の邪魔しといて、一言謝れっての」
思い出すと湧き上がる怒りを、今度は食後のコーヒーで流し込んだ。