あまのじゃくな彼女【完】
あのセクハラ親父と別れてからのこと。
おいしそうな料理は残っていたものの、食べる気にもなれず、私と係長は早々に帰宅することになった。
こちらに向かう山下さん達を待つべきだと言うと、
「奥さんと来るって話?あんなのはったりだよ、はったり。浮気性の旦那が若い女と2人で居るなんて言ったら、あの奥さん発狂するよ。山下には連絡いれとくから」
いけしゃあしゃあとこの男、やはりただ者ではない。
電車で帰ると言うと「今日ぐらい言うこと聞け」と一喝され、結局係長と同じタクシーに乗せられ料亭を出たのだ。
運転手には係長が勝手に行先を言っていたし、てっきり私が後に降りるのかと思って油断していた。 車の心地よい揺れと安心感から、ゆったりと目を閉じた・・・ところまでで、記憶が途切れた。
上司に送ってもらったのに爆睡して覚えてもいないなんて、なんて失態。