あまのじゃくな彼女【完】
1人反省会を繰り広げていると、うぃーと呑気な声を出して宏兄がダイニングへ入ってきた。既に稽古を終えシャワーでも浴びたのだろう、髪が濡れている。
「おう、芽衣子お前昨日はすごかったなぁ」
ニヤニヤしながら浅漬けをつまみ、ばりぼり良い音をさせながら言う。
「そんなに昨日の私、ひどかった?」
「ひどいっつーかなんつーか、いくら起こしても全然起きねえんだもん。お前背負って部屋に運ぶとか、あいつやっさしーねぇ。いやー愛だね、愛」
起こされた記憶も、まして背負われた記憶もまったくない。これはスカートやセクハラがどうこうなんてもんじゃない・・・恥ずかしすぎる。
「いや、愛とかじゃないから!ただの上司だし、そんなの係長に失礼だよ」
「ぁあ?上司?・・・ふーん、そゆことね。大層優しい上司だこったな」
ニヤついた顔はそのままに、何事か納得した宏兄は朝食へと意識をうつしていた。