あまのじゃくな彼女【完】
2:
「吉村さん!」
月曜の朝、オフィスに着くと私に気付いた千葉さんが駆け寄ってきた。
「ほんっとーに、すみませんでした!!」
ぴたーーっと頭が膝にくっつきそうな勢いで、体を2つに折り曲げる。
「山下さんから聞きました。私が急に先輩にお願いしたせいで」
「ううん。千葉さんが悪いわけじゃないでしょ。それより千葉さんが変な目に合わなくてよかったよ」
本心だった。新人があんな目にあったんじゃ、この先仕事を続けていけなくなる事だってある。
「そんな・・・山下さんにも怒られました、自分の仕事の締切りくらいちゃんと把握しとけって」
「そっか。でも山下さん、変な怒り方しないでしょ?千葉さんが反省してるのもちゃんと分かってくれてるよ」
山下さんは怒るときは怒る、しかも的確に。余計な事なことをねちねち言う事もないし、その点も後輩たちから慕われている理由だろう。
「はい、ますます好きになっちゃいました」
うん?