あまのじゃくな彼女【完】
「まぁ吉村に使い分ける必要がなくなったってこと」
「ん?休日にもお会いしましたしね。ちゃんと秘密は守ってますよ・・・って事ですか?」
「・・・そうきたか。まぁいいや」
係長は深いため息を漏らしぼそっとつぶやいたが、はてながいっぱいの私はこの時気にも留めなかった。
「そういえば吉村、あの後ちゃんと寝たのか?」
「はい?あ、の後と・・・申しますと・・・」
「いやだから部屋入ってベッド乗せようとしたら、お前いきなり暴れてやれ上着がスカートがなんだかんだ・・・ってお前覚えてないの?」
「か、係長!!私、服!!ちゃんと、1人で着替えましたよね!?よね!?」
「いや、お前相当寝ぼけててさぁ上手くできないとかぐずるからさ」
目を見開き呼吸を忘れてフリーズした。
何が悲しくて、彼氏でもない男の前で自ら着替えなきゃならないんだ。しかも上司だし、へんな秘密守らせるような男だし。実は彼女じゃない女の人がいっぱいるような人だし。
終わった、私のオフィスライフ終わった。
「ぶっ・・・信じてやんの」
「へ・・・」
「んなわけないだろ。おばさんも一緒に部屋居たし、さすがにやばいからおばさんに任せて俺は出てったっての」
いたずらが成功した小学生のように、おなかを抱えて笑う係長。
「安心しろよ。んじゃ、ごちそうさん」
飲みほした缶をほいっとごみ箱へ投げ入れると、係長は颯爽と去って行った。