あまのじゃくな彼女【完】


「おーい、めいちゃん!こっちこっち」

しわしわの顔は少し赤らみ、首にひっかけたタオルで汗をふきながらタケさんが手招きしてきた。

「タケさん久しぶり!!」

「おう、まぁ飲めや飲め。もうめいちゃんも大人組だからなー」

タケさんとは、タケさんの子どもがうちの道場に通っていた頃からの付き合いだ。私が赤ん坊の頃には既に道場に出入りしていたから、その辺の親せきよりよっぽどお世話になっている。
今は世代交代して、タケさんの孫が通っているのだ。


「えへへ、ありがとう。いただきまーす」

トクトクっとビールをついでもらい、溢れそうな泡に口をつけた。そんなにお酒は強くもないけど、人並み程度なら飲める。


「なんだ、仕事帰りなんか?ご苦労さん」

「そうなの。時間無くって、まっすぐ来ちゃった」

「あーんなおしめつけてためいちゃんがなぁ。すっかりOLったぁ、早いもんだな」

「そんなの覚えてるのタケさんぐらいじゃないの?もう私26だよ」

ふふっと笑いながらもなんだかくすぐったい温かい気持ちになる。

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