あまのじゃくな彼女【完】
「疲れるってあんたが妙に構えすぎなんだって。『武士』とはいえ、あんたがちゃーんと女子ってのはわかってるってば。あんたが疲れなさそうな、自然体でいられる人ねぇ~」
んんーと腕組みしながら由梨がうなった。
「そうだ!!ほら、高遠係長は?あんたの男前な仕事っぷりも知ってるし、なんてったって“THE・パーフェクト”じゃない」
「えぇ~・・・いやぁ、無いわぁ」
げんなりした顔で、さっきのねこっ毛頭を思い出していた。
高遠 隼人、確か33歳
同期内断トツトップで係長に昇進。
眉目秀麗・成績優秀
穏やかな物言いに柔和な笑顔
その上、的確な指示とリーダーシップ
"THE・パーフェクト"
みんなが口をそろえてそう呼ぶけれど
芽衣子だけは、なんだか共感しかねていた。
この人まぁかっこいい、けどなんだか・・・
“うさんくさい” んだよね。
仕事の実力は認めていたが、
この男見た目のままじゃない、そんな予感がしていた。
そんな予感が本当だと気づくのは、それから数日後だった。