あまのじゃくな彼女【完】
両手を顔の前でぎゅっと握ると、身を乗り出した。
「はじめ」
主審の合図で試合が始まった。
両者の気合の声と、竹刀がぶつかる音が響く。何一つ見落とさないよう食い入るように見つめる。
「大地、結構うまくなっただろ」
私の耳元で、宏兄がつぶやいた。
「間合いの取り方もなんとか形になってきたし、まぁ俺の特訓のおか」
「宏兄うるさい」
くい気味に宏兄を制止すると試合中の大地に集中した。
私が教室に混ざっていた頃とは全然違う。足さばきも格段にうまくなっているし、何より集中できている。正直、宏兄の指導が功を奏したのは間違いなさそうだ。
あぁすごいなー・・・どんどん成長してる。
大地の成長を感じて思わずにやけてしまうのを隠すように、ぎゅっと握っていた手を口元へとやった。