あまのじゃくな彼女【完】
珍しく煮え切らない態度が気になる。親せきの子どもでも出場しているのだろうか。
なら、はっきりそういえば良いだろうに。知られたくない理由でもあるのかな?
いや、これ以上この男の秘密を抱えるのもごめんだ。
そう思い直し、さっさと先を急ぐことにした。
「すみません、私いそいで」
「めいちゃーん」
今しがた去ってきた保護者席の方から、タケさんが小走りでやってきた。
「めいちゃんホレ、携帯忘れとるぞ」
「えっ、あ・・・本当だ!」
よくよく見れば、かき集めたはずの荷物の中に携帯電話が入っていない。あまりに慌ててきたせいで、置き去りにしてしまったみたいだ。
試合によっては保護者席を移動することもある、危うくみんなとはぐれてしまうところだった。
タケさんから携帯を受け取ると、今度こそ、とその場を去ろうとした。