あまのじゃくな彼女【完】
「ん?・・・お前」
私とさほど変わらない高さから、じっと何かを確かめるようにその顔を見上げるタケさん。
「・・・シュン、か」
口に出すと同時に、にんまりと満足そうに笑うタケさん。
そうかそうかと何事か納得したようにバシバシと係長の肩を思い切り叩く。
「なんだおめぇ、ずいぶん久しぶりじゃねぇか。元気にしてるんか」
「ひ、人違い!!この人はうちの会社の人で、あぁすみません係長」
人違いの上、上司を叩くのはやめてほしい。ただでさえセクハラ事件でも迷惑をかけた上、これ以上失礼をはたらくのは勘弁だ。
バシバシ叩くタケさんの腕をすがるように引っ張るけど、大した効果は見られない。
「あぁ?こいつシュンだろ?めいちゃん思い出さねぇのか」
「だから、違うって!この人は高遠さんっていって、私の上司で」
悪気が無いのは分かるけど、聞く耳持たないタケさんに思わず苛立ち声が大きくなる。
腕をひっぱる手にぐっと力が入りそうになったところ、頭上から大きな手がふんわりと頭の上に置かれた。