あまのじゃくな彼女【完】
なんでこんな事になったのか。
「もう先輩聞いて下さいよ!山下さんったらあり得ないんですっ」
「芽衣子聞いてよ!翔ったら全然準備手伝ってくれないの」
そんな二人に挟まれて、連行されたのは最近人気のワインバー。ワインのボトルを傾けながら、早々に二人は出来上がってしまった。
最初は千葉さんの事を敬遠していた由梨だけど、最近の仕事っぷりで見直したらしい。恐る恐る誘ったのに、予想に反して二つ返事でOKだった。
「デートに誘ったのに、勝手にみんなで行く事になってたんです!」
「せっかくあげた手作りお菓子、課長と一緒に食べちゃったんですよっ」
とか何とか。
千葉さんは相変わらず、女心の分からない鈍感な山下さんに振り回されているみたいだ。
「あんな鈍感、もっとドストレートに行かなきゃだめよ!家に手料理つくりに押しかけるくらいじゃないと」
「なるほど!よし、今度ご飯作りに行ってみます!!」
酔った2人の勢いは止まることなく、グラスの空くスピードも加速する。
「翔ってば、披露宴の曲選び全然手伝ってくれないの!由梨の好きにしていいよ、って意見の1つも無いのか!!」
「えー意見ぐらい欲しいですよね!2人の結婚式なのにぃ!!」
「結婚なんて良い事ばっかりじゃないのよ、千葉ちゃん!」
「そんなぁー夢くらい見させてくださいよう」
由梨の翔さんへの愚痴に続き、そもそも結婚とは・・・って語りだした。
2人を見て結婚に憧れもしたけど、現実にはいろいろと大変そうだ。