あまのじゃくな彼女【完】
「なんで・・・言ってくれなかったの」
「隠してたわけじゃないって。めいがあまりに気づかないから、このまんまでも良いかなって」
「だって最後会ったのって、私小学生とかでしょ?そんなの分かんないよ」
シュンちゃんとの最後を思い出すと、あれは多分小学生の時だ。
高校の卒業証書を手に、宏兄と一緒に道場に挨拶に来ていた。宏兄とシュンちゃん、2人ともあらゆる制服のボタンがもぎ取られなんだかすごい有様だった。
単に卒業の挨拶に来ただけだと思ってた。
だけど、卒業してからシュンちゃんはぱたりと道場に顔を出さなくなってしまった。宏兄を問い詰めると、大学進学のため引っ越し、道場もそれを機に辞めたのだと教えられた。
それまでしょっちゅう稽古に付き合ってもらっていた私はぎゃんぎゃん泣きわめき、内緒にしていた宏兄とはしばらく口もきかなかったっけ。
「お前な、あんだけシュンに世話になってて気づかない方が悪いんだっての」
私の額を指でぐりぐりと押しながら、宏兄が呆れるように言った。