５日だけの二人
もともと桐山はこういった言葉を自然に口にしてしまうキャラクターなのだ。 しかし、雄子にしてみれば違った意味で受け取ってしまう。 言われた瞬間ドキッとしたし、心臓が高鳴るのは自分でも感じていた。
「…そう？ えっと…、ありがと。」
桐山から目線を逸らした中村は、自分の顔が赤くなるのを感じていた。 桐山の言葉に深い意味は無い。それは中村にもわかっているのだが、何故だか桐山を直視できずにいた。 そんな中村の異変に桐山が気がついた。
「雄子？ どうかした？」
たわいのない問いかけだったが中村には心地よく感じる。
「ううん。なんでもないよ、大丈夫。 それよりさ、これ飲んでみたい。この“コーラの烏龍茶割りサワー”ってやつ。」
中村はドリンクメニューを指差しながら楽しそうに言った。
「ああ、それか。 久しぶりだなそれの注文を受けるのは。 昔は人気メニューだったんだけどな。」
桐山は冷蔵庫を開けてコーラの在庫を確認する。
「人気メニューだったんならきっと美味しいんだね。楽しみだな。」
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表紙・目次

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