5日だけの二人
「ちょっと訳ありでね、とりあえずパスタ出来たよお待たせ。 ドリンクはすぐに作るからね。」
できたてのパスタからは実に美味しそうなにおりがして、中村は一気にテンションが上がった。 カウンター越しにそれを受け取るとすぐさま一口食べてみる。 それは中村が予想していた様な味わいであり、それでいて予想以上のおいしさだった。
「おいしいよ、凄くおいしい。 これでもまだ試作段階なの?」
中村は不思議そうに桐山を見る。
「ありがと。 実ははオリーブオイルの選定ができなくてな。 もう少し深みのある味にできるはずなんだけど、なかなか良い物が見つからなくてさ。」
それを聞いてもイマイチしっくり来ない中村だったが、それはそれで完成品も食べてみたいと密かに思った。 それでも、目の前にあるパスタは実にうまいので中村自身には何の不満もなかった。
「はい、コーラの烏龍茶割りサワーできたよ。 ちょっとだけ刺激が強いからゆっくり飲んでね。」
中村が食事に夢中だった隙に、桐山はドリンクを作り終えていた。 テーブルの上に置かれたグラスを見た中村は一瞬戸惑った。
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