５日だけの二人
きっとユカが払って行ったに違いない。 それくらいなら光一はおごるつもりだったのだが、どうやら彼女の方が一枚上手だったらしい。 “この借りはいつか必ず返します”心の中でつぶやく光一、ドリンクを一気に飲み干すと店を出た。 そのまま駐車場で車に乗り込もうとした時だった、ファミレスの店員が慌てて追いかけて来た。
「お客様！ 忘れ物です。」
そう言って走って来た店員は、光一に黒い定期入れを渡す。 しかしそれは光一の物ではなかった。 すぐさま店員に返そうかと思ったが、なんとなく気になって中を見てみた。 定期入れには定期は入っておらず、二つ折りになっている中を開いてみた光一は納得した。
「ああ、はい。 ありがとうございます。」
店員にお礼を言って車に乗り込んだ。 車内にて再び定期入れを開けて中を見る。 そこにはユカの写真が入っていた。 つい最近写したものだろうか、まだ今と変わらぬ印象を受ける。 ちなみに、写真に写っているのはユカだけでは無い、ミカとミントも写っているし、あのナカムラさんも一緒に写っていた。
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表紙・目次

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