5日だけの二人
普通だったらこんなマナーの悪い駐車は大嫌いだ、光一はさぞ彼女の事を怒っただろう。しかしながらユカの尋常ではない慌てぶりを見た今となっては怒るわけにはいかない。 それにユカがどれだけ自分の車を大事にしているのかは知っているし、悪気あっての結果では無いと思うので仕方ないか。光一は軽く溜め息をつきながら車に乗り、とりあえず今は無人の駐車スペースに車を収める。 そのままエンジンを切って車を降りようとした時、ふいに光一の肩を何者かが掴んだ。
「おわっ!! なんや?」
あまりに突然の事だった光一は、大声を上げながら振り向いた。 そこにいたのはユカの妹であるワカだった。 ずっと後部座席で寝ていたのか、眠そうな表情でジッと光一を見ていた。
「ねえ? 何でここにいるの? ユカはどこ? あっ…、久しぶりだね。」
どうやらまだ半分寝ているようだ。
「ユカさんなら俺の部屋にいるよ、それよりワカちゃんこそどうしたんだ? ずっとそこにいたのか? 」
そういえば昼間ユカと会った時、夕方からこの娘と会うような事を言ってたと思い出す。
< 122 / 163 >

この作品をシェア

pagetop