5日だけの二人
そう言いながらワカを降ろそうと腰を落とす。するとワカは突然、手足をばたつかせながら光一を見る。
「嫌だ、しばらくこのままがいい。」
そう言って光一の首に手を絡ませてくる。 すっかり困り果てた光一は、ユカに視線で助けを求める。 が、しかし、
「なんだか、すっかり仲良しね。 私達に男の子の兄弟がいたらこんな感じなのかな。」
と、すっかり和んでらっしゃるではないか。 しかし、いかんせんこの状態は辛い。 いかにワカがスレンダー美人だろうと、人間一人をいつまでも抱えていられるほど光一はタフではなかった。やがて崩れるように彼女を降ろす。 しかし、ワカは依然として光一の首に腕を回したままだ、なんとかそれを離そうと試みる光一だったが、ワカの悪ふざけは終わらなかった。
「嫌だ嫌だ、離れたくない~。私の事が嫌いなの? ねえ~ってば。」
もしこの場にミカがいたなら修羅場は必至だ。 仕方がないのでしばらくはワカの好きなようにさせておく事にした、きっとそのうち飽きるだろうと考えたからだ。 しかし、この判断はどうにも甘かったと言わざるを得ない。
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