5日だけの二人
何故なら、光一は今のワカの状態を読み間違えていたからである。 この時のワカは決して悪ふざけだけでこんな態度をとっていた訳ではない、その事に気がつかなかった光一はワカに思いっきり頭を押さえつけられたかと思ったら、そのまま突然にキスをされてしまったのだ。もちろん口にである。 これはさすがの光一も驚いて全く動けなくなってしまった。数分、いや数秒だろうか、光一はワカにキスされたままの時間がとても長く感じていた。 やがてワカがゆっくりと離れたくかと思うと、逆に動かない光一を不安そうに見つめた。
「あの…、光一…さん?」
やっちゃったかな? ワカは少しだけうろたえながらも今度はユカを見る。
「大丈夫よ、ねえ光一さん。 光一さんってば!」
ながらく呆けていた光一だったが、ようやくユカの声で我に返る。
「ああ…、えっと…。 うん、大丈夫だよ。 大丈夫だからさ…。」
自分の口を抑えながら答える光一は、どうやら相当に動揺している様子だ。 その様子を見て、ユカは光一にこう言った。
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