５日だけの二人

空気が重い。もとはと言えばワカの悪ふざけから始まった騒動だが、今度は逆にユカが事態を牽引しているかに見える。 光一はユカに返事をする前に、泣いたままこっちを見ているワカの頭をなでる。
「本当に大丈夫だからさ。 泣かないでよ、いつものように笑って。」
光一の言葉は本心だった、少しの皮肉も、やせ我慢も含まれてはいない。 それが伝わったのだろうか、ワカはゆっくりと頷いた。
「うん、ありがとう。 」
涙を拭った彼女はにっこりと光一に微笑んだ。 それに対し光一も笑顔で返す。そして意を決したかのようにユカの方を向いてこう言った。
「さて、聞かせてもらいましょうか？ あなたの言う真実ってやつをね。 でも、先に言っておきますけど何を知ったところで僕の気持ちが変わる事はありません。 俺はあいつの事を…、 好きなんです。 年齢的には不思議に思うかもしれませんが、本気で好きになってしまったんです。 だから、隠し事もしたくないし、逆に何かを知ったからと言って気持ちが揺らぐ事はありません。」