5日だけの二人
光一はゆっくりと立ち上がり、両手を上げて伸びをする。 硬い床で寝たせいか体のあちこちで関節がパキポキと鳴っている。 すると、
「若いのに年寄りみたいだね。」
いつの間に起きたのか、ワカが光一のほうを見て笑っていた。
「ほっとけ。 だいたいワカちゃんが俺のベッド使ってるからだろ、床で寝たら誰でもこうなるよ。」
ワカは自分の携帯をチラッと見てから起き上がった。
「ちゃんと昨日聞いたよ、ベッド使って良いですか?ってね。 光一は寝てたけど。」
「それは聞いたうちに入らないだろ。 あとそれから、何ちゅう格好してるんだ? 早く何か着なさい。」
そう言って光一はワカと反対側を向く。 ワカは別に裸で寝ている訳ではなかったのだが、上着とスカートを脱いで下着姿で寝ていたのだ。 あと聞いた話によるとそれは洋服のまま寝るとシワになるという、実に女の子らしい発想からの行動なのだが、さすがにこれはさすがに不用心だと光一は思った。
「別に、たいした事ないよ。 水着だって思えばいやらしくないんじゃない?」
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