5日だけの二人
ワカは自分がジッと見られている事に気がつくと、思わず顔を背けてしまった。
「どうした?」
反射的に光一が顔を覗き込む。
「ううん、別に。 まだ寝起きだからあんまし見ないで。」 そう言いながらもワカは、自分の心音が高鳴っているのを感じた。
「光一もだね。」
ワカは再び光一を見る
「何が?」
光一は不思議そうにワカを見た。
「光一も、私に普通に話してくれるようになったね。 さっき光一が言ってた意味、なんとなくわかったよ。」
昨日までの光一はなんだかワカに他人行儀な態度であった。 まあ会うのは二回目だから仕方ないと言えばそれまでだが、それがワカにはどうにも気になっていた。 それは光一にしてみても同じだった。 ワカの話し方は、なんて言うか、馴れ馴れしいハズなのに、それが逆にわざとらしくて壁を感じていたのだ。 なんだかキャラを作って自分を隠しているように感じていたのだが、 その違和感は今の二人には全く無くなっていた。
二人はお互いに大声で笑う事で、ようやく昨日のわだかまりが取れたみたいだった。
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