5日だけの二人
「信じられないでしょうが、間違いなくミカは死んでいます。あなたも知っているあの事故の時、救急車が現場に駆けつけた時には既に…。」
ユカの返答が光一の頭に響く。僅かに耳なりがして気分が悪くなる。
「じゃあ、今のミカは何なんだ? あんなにはっきり見えるのに、あれは幽霊なんですか? 俺はあいつに触った事もあるんですよ?」
光一は実にもっともな質問を投げかける。するとユカとワカはお互いに顔を見合わせ、なんとも説明しずらそうな表情をした。
「実は…、私達も良くわからないんです。」
「…? わからない?」
「ええ、確かにあの娘は死にました。だから今のミカは幽霊なのかもしれません、しかし、あなたの言う通り私もあの娘が幽霊だとは思えないのです。」
ユカはワカを見て頷く、そしてワカは光一を見て、
「私も同じ。とても死んだなんて思えない。」
二人を交互に見た光一も頷く。
「教えて下さい。いったい何があったんですか?」
するとユカはカバンから封筒らしき物を取り出し、中に入っていた紙を広げて光一に見せた。
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