５日だけの二人

「何だよ他って？ 例えば？」
質問の意図が理解できずに片山は聞き返した。
「そうだな、単刀直入に聞くぞ、あの時俺と一緒に女の子がいただろ？ その子の事が聞きたい。」
すると片山は光一を見ながら首を傾げて言った。
「…いや、見てないけど。何の話だ？俺が見たのはお前が一人でアイス食ってる姿だけだ。女の子なんて見てない。」
片山の回答に光一は一瞬天を仰ぐ。
「そうか…、やっぱり見てないか。悪い、邪魔したな。」
そう言って立ち上がり、足早にその場を後にした。
「おい東堂！ どうしたんだ？」
去り行く光一の背中に声を掛けるが、どうやら耳には入っていない様子だ。
先日ユカ達から告げられた真実は二つ。一つはミカの事故とその後の出来事、これは当時の新聞や雑誌を見て調べる事が出来た。そしてもう一つ、今のミカが他の人と決定的に違うと言える点。それは、ミカと全く関わりの無い者には、その姿を見る事は出来ないという事だ。つまりほとんどの人には見えていない、という事になる。