５日だけの二人

中村の返答は至って普通の、ごくごく自然なものだった。 本当に久しぶりに会う懐かしい友達、そんな感じだ。
「ああ…、この人はお兄ちゃんって言うか、…お兄ちゃんでは無いと言うか、とにかくお兄ちゃんなのよ、うん。」
さすがのミカも、この【兄弟プレイ】みたいな状況を説明出来ないらしい、俺を見ながら目で助けを求めて来た。
「ふ～ん、よくわかんないけど、お兄ちゃんなんだ。」
天然なのか空気を読んだのか、中村が深く追求をして来なかったのは幸いだった。
「ところで、お前は一体どうしたんだ？ 俺を探していたのか？」
ようやく落ち着いて来た光一は、携帯を取り出しながら訪ねる。着信履歴が数回あるが、全てミカからだっち。
「うん、何かあった訳じゃ無いよ。一緒にランチどうかな？って思って。」
「ああ、なるほど。」
「それとね…」
「？」
ミカはジッと光一の顔を見たまま、なんとも引きつった笑顔を見せる。
「ひょっとしたら、お兄ちゃんは私に話があるんじゃないかな～？ なんて思ってみたり、思わなかったり。」