5日だけの二人
ミカの意味深な言葉に、桐山と中村の二人も光一を見た。 そして当の本人はと言うと。
「…」
最初はピンと来なかった光一だったが、ハッと一つの可能性が頭をよぎったのだった。
もしかして、ミカは知っているのかもしれない。自分の身に起きた真実の全てを。そして今、俺がそれを知っているという事も。だとしたら、どうしたら良い? どうしたら正解なんだ? わからない、あまりに突然過ぎる。
とっさに返答出来ない光一を見て、ミカはすかさず追求を入れる。
「どうしたの? 私の言ってる意味がわからないのかな? それとも分かっているからこそ答えられないのかな? ねえ?」
この時のミカの表情はどうだったのだろうか? 実際のとこは定かでは無いが、光一から見たミカの表情は、なんとも言えない様な鬼の形相に見えたという。
追いつめられた光一は、とにかくこの状況を打破すべく口を開いたのだが、どうやらそれは逆効果になってしまう。
「いや…、考えてみたんだが、別に報告する様な事は何も無いぞ。」
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