5日だけの二人
「土曜日はな、まず昼過ぎにワカと偶然ファミレスで会ったんだ。せっかくたがら一緒に飯を食ったんだが、その時あいつ財布を忘れて行ったんだよ。すぐにそれを届けようとしたんだけど、電話したら三時間ほど手が離せないから預かっていてくれと言われてな、とりあえず家で待つ事にしたんだ。 そんで夕方になって俺の家に来たんだけど、今度はワカも一緒でな、なんか酷く酔っ払っていたから少し部屋で休ませたんだ。んで結局回復しそうになかったから泊めたんだよ。どうだ?大した話じゃ無いだろ?」
ずっと険しい表情をしていたミカだったが、光一の話を聞き終わる頃にはいつもの雰囲気に戻っていた。
「そっかぁ! そうだよね? そうじゃないかと思ってたんだよね。うん。」
光一は正直なところ心が痛かった。しかし、その反面ミカの素直な反応が嬉しかった。 実はこの話、ユカが考えた言い訳用のエピソードなのだ。もし泊まった事がミカにバレた場合の対応策として聞かされていた。もちろん冗談混じりに話していたもんだから軽い気持ちで聞いていたのだが、今にして思えばユカは本気だったのかもしれない。
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