５日だけの二人

「良く似合ってるよ。 だからね、次にお兄ちゃんが服を買うときは、こんな感じで参考にしてくれると嬉しいな。」
その表情は実に達成感で満たされていたミカだが、光一が店員を呼ぼうとしている事に気がつき、それを慌てて止めた。
「ちょっとちょっと、店員呼んでどうする気？」
その慌てぶりに光一は驚いた。
「どうした？そんなに慌てて。 俺はただ店員さんに、ズボンの裾直しをやってもらいたいだけなんだけど？ 何かまずかったかな？」
既に買う気満々の光一にとって、ミカの返答は意外なものだった。
「今日買うつもりなの？ 無理しなくていいんだよ？ 」
ミカは心配そうに光一を見る。 その表情から光一は、ミカの不安が何なのか理解した。
「大丈夫。 ミカが選んでくれたから勢いで買う訳じゃないよ。 だから安心して大丈夫だよ。 俺はさ、本当にこの服が気に入ったんだ、だから買う。」
それを聞いたミカは、まだ少し考えはいたが、嬉しそうに、
「わかった、ごめんね変に気を使わせて。でも、本当に似合ってるよその服。」