5日だけの二人
光一は不信に思いながらも、
「はて、メイドさんですか? 個人的な面識はありませんね。」
すると北見は、そのメイドを近くに呼び寄せ、
「紹介します。 昔、この屋敷でメイドをやっていたナカムラさんです。」
光一は目の前の少女をジッと見る。 しかし、ナカムラと紹介された娘は微動だにしない。 しかたがないので北見を見ると、
「すいません、彼女は変わり者なのです。」
変わり者ねぇ? 光一は再びナカムラを見る。
「昔って言いましたよね? 今は違うんですか?」
光一はナカムラの目を見て訪ねる。 しかし、相変わらず彼女は何も反応しない。
「…」
二人の間にしばしの沈黙。
「さてナカムラさん、我々はそろそろ失礼しましょうか。」
黙って見ていた北見だったが、しばらくしてからナカムラを促す。 北見の言葉にもナカムラは反応はしない、しかし、ゆっくりと部屋を出て行く。
「それでは、本日は失礼致します。 おやすみなさいませ。」
ナカムラが部屋から出るのを見届けた北見は、自分のスタスタと部屋を出る。
「えっ…? あれっ、ちょっと?」
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