5日だけの二人
まだ落ち着かないのか、光一の声は若干うわずっていた。
「ん? 一緒に入らないの?」
光一とは違い至って平静のミカの言葉に、光一は一瞬めまいすら覚えた。
「なあミカ、あんまり俺をからかわないでくれよ。 俺ってそんなに女の子慣れしてる訳じゃないからさ。 さすがに刺激が強いって言うか、その…、対応に困るんだよな。」
すっかりミカのペースに戸惑った光一は、すっかり自分を見失っていた。 しかし、光一のそんな態度を目の当たりにしたミカは、逆に悪戯心に火が付いてしまっていた。
「そっか、お兄ちゃんの言いたい事はよくわかったよ。だから安心してお風呂に入ってきてよね。」
やけにあっさり引き下がったミカを若干不信に思いながらも、光一は広々とした温泉施設並の浴場にテンションが上がっていた。
「広い。まるでプールみたいだ。」
思わず独り言を口にしてしまう程の広さに、光一は子供の様に目を輝かせた。
体を洗い流し広い浴槽に入る。 体を思いっきり伸ばして天井を見上げた。 朝からのんびり風呂に入るという贅沢な行いが、いつになく光一をリラックスさせていた。この時になってようやく、昨日から立て続けに驚かされた出来事を整理し始めていた。
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